野口健さんが見た、屋久島の多様性。
TOPSTORYPHOTO GALLERYエコツーリズムに参加する
野口健さんが見た、屋久島の多様性。

神秘の島、多様性の島。それだけではない現実。
アクシュプログラムの「グリーンセレクション」として開催された
アルピニスト・野口健さんによる屋久島グリーンツーリズムは、
人と自然の未来について学ぶ、オトナの環境学校でした。

約40万、10年前のおよそ2倍。この数字は、昨年1年間に屋久島を訪れた来島者の総数だ。この数がいかに大きいものであるかは、この島の人口が約1万4000人、と書けばいくらかは伝わるだろうか。

宮之浦岳
島の中央に鎮座する翁岳。縄文杉はこの峰に聳える。

1993年にユネスコ世界自然遺産に登録されて以来、樹齢数千年とされる縄文杉の存在が大きな注目を集め、観光客は年々増加の一途。もはやブームとも呼べるほどの屋久島人気が長らく続いていることは周知のとおりだ。 彼らツーリストたちが「一度は観てみたい」と想いを寄せる縄文杉を擁するのは、島の中央に鎮座する宮之浦岳。その登頂の道程はなかなかに骨が折れることで知られるが、野口健さんは「登るのはもう10回目くらいかな」とさらりとした口ぶりで話す。自ら主宰する環境学校をはじめ、これまで幾度となく屋久島の森へ入り、世界でも類い稀なこの地の自然の豊かさを深く知る野口さんとともに歩くエコツアーの初日は、宿泊する『sankara hotel&spa 屋久島』のエグゼクティブ・シェフ、武井智春氏の案内による「芋掘り」から。「実は芋掘りは小学生以来」と笑う野口さんとツアー参加者で畑を訪れ、芋掘りに挑んだ後は、しっとりホクホクの焼き芋を賞味し、まずは滋味溢れる島の味覚を体験。

安納芋
地元の農家がこだわりをもって栽培する「安納芋」は5月末頃に植えつけたもの。つるが大きくてしっかりしたものを選んで掘り出せば、小さい実ながら、糖分が乗ってねっとりとした甘味の強い芋が次々と出てくる。

翌日は早朝より、今回の旅のメインイベントとなる、縄文杉への往復約12時間のトレッキング・ツアーへ。案内してくれるのは、何と50年もの昔から屋久島へ入り、地図製作の仕事を通じてこの森をくまなく歩き尽くしてきた大ベテランの太田さん。頼もしい屋久島のスペシャリストである。

まだ空もほの暗い早暁5時、メンバー全員でバスに乗り込み、荒川登山口に移動してトレッキングを開始。大正時代に敷設された森林軌道の跡を利用したトロッコ線路上をひたすら歩く。樫、椿、山茶花など照葉樹の緑濃い森の中で、ポイントごとに太田さんが立ち止まって、その場で見られる植生や地形、生物について詳しく解説を加えてくれる。通常の登山では見過ごしがちな、小さな植物や昆虫の姿もしっかりと捉えることができるのがエコツアーの醍醐味。驚くのは、600種を超えると言われるさまざまな苔について、太田さんが瞬時に見分けて教えてくれること。屋久島の象徴として広く知られる見慣れた風景も、その細部を見つめてみれば、年間雨量1万ミリという島独特の湿潤な気候が生んだ自然の神秘であることがより深く感じられる。

通称「トロッコ道」
片道11kmに及ぶ縄文杉への道のりは、高度成長期に機関車が木材を載せて走っていた森林軌道、通称「トロッコ道」が約8割を占める。その途上では、かつて森林伐採の前線基地の集落だった小杉谷の小学校跡もある。
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