
水田には、昆虫、カエル、ヘビなどが生息するが、その頂点に立つのはサシバ。
日本一のサシバ飛来の地、栃木県・市貝町でサシバの保護活動をする
「オオタカ保護基金」の遠藤孝一さんに、豊かな農村生態系について伺いました。
翼を広げると1メートルほどあるサシバ。環境省により絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。
サシバという鳥をご存じだろうか? 「農村地帯に生息するタカで、春になると日本へ飛来して繁殖し、秋には東南アジアで越冬する渡り鳥です」と、サシバについて教えてくれるのはNPO「オオタカ保護基金」の代表・遠藤孝一さんだ。「オオタカ保護基金」はその名のとおりオオタカを保護するために1989年に設立された。オオタカの生息地である栃木県・那須地方では、違法に飼育するためのヒナの密猟が横行していたため、その監視活動を担っていた。地道な活動と法整備によってオオタカの減少には歯止めがかかったが、今度は、同じ猛禽類であるサシバが激減。1980年代には、日本から越冬地へ飛び立つサシバは4万羽ほどいたが、20~30年のうちに約2万羽にまで半減したことを危惧した「オオタカ保護基金」が保全活動に乗り出したのだ。
サシバが半減した理由を、遠藤さんはこう話す。
2010年の11月から、地元の農家の協力を得ながら復元作業を開始。雑草を刈り取り、トラクターで耕すと、元の水田が姿を現した。
「サシバは、昔から日本の農村の水田に棲むカエルやヘビ、トカゲや昆虫を捕食し、子どもを育ててきたのです。ところが近年、サシバのエサ場となる農地が激減。とくに、『谷津田』という山際の丘陵地に細長く耕されたサシバにとって欠かせない水田が、農家の高齢化や後継者不足によって耕作放棄地となり、放置される例が後を絶ちません。エサとなるカエルやトカゲが姿を消すなど、サシバの生息地として悪化の一途を辿っているのです」
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