
有機農業はひとつの農法であると同時に、それを実践する農業者や、
野菜を購入する消費者の思想やライフスタイルをかなえるものでもある。
その実践者、『久野農園』の久野裕一さんに有機農業の魅力と課題を伺った。

「きたあかり」という品種のジャガイモ。ホクホク感があり、肉ジャガにすると美味しい。
「学生時代にアジアの農村を旅して、人間本来の暮らし方や生き物との向き合い方に心を動かされ、有機農業を志しました」と話すのは、埼玉県・小川町で『久野農園』を営む久野裕一さん。大学卒業後、小川町の農場で有機農業の基礎を学び、沖縄・渡嘉敷島で就農。無農薬・無化学肥料の野菜づくりを実践した。しかし、離島ゆえの高い物流コストや台風被害に悩んだ末、10年後、やむなく島を後に。原点に立ち返ろうと小川町で農園を再開した。5年が経った今、7万平方メートルの農地を耕し、5名の従業員とともに無農薬・無化学肥料の野菜栽培を続けている。
無農薬なので雑草も生える。
「『有機』という言葉は浸透していますが、市場はまだまだ。手間とコストがかかりすぎますから」
例えばキュウリは、実となる脇芽の数を調整しながら収穫するが、3か月ほどの収穫期間中、病気にかからないための農薬と、多く実らせるための化学肥料を用いる。しかし、有機栽培はそれを与えないので、キュウリの元気がなくなり、収穫期間も短くなる。結果、収穫量は一般の農家の5割ほどに。
「かといって、価格は2倍にはなりません。健全な栽培方法にこだわりつつ、ビジネスとして成立するラインを見出すことが有機農業の課題です」という久野さん。栽培種を絞ってロットを増やし、機械を導入することで、手間とコストの削減に取り組んでいる。
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